個人再生の手続を行い、失敗した場合に破産しかないのか?というご質問を受けることが増えています。以前、「個人再生で失敗した場合」どうすればいいのか?」という記事を書き、それを見てお問合せいただく方が多いようです。
個人再生に失敗した場合、通常は破産を検討します。
というのは、個人再生を行う状況にある方は、借入れの全部を返済することが困難な状況にあるわけで、任意整理で返済計画の見直しをするだけでは経済的再建を図れないことが前提となります。
【任意整理】返済計画の見直しによる借入れ全額の返済
↓困難
【個人再生】一部のみの返済
↓困難
【破産】全部の免除
そのような状態で個人再生に失敗したとしたら、じゃあ任意整理で、というわけにはいきません。任意整理で返済するのが難しいだろうと判断して個人再生を行ったのに、個人再生に失敗したから任意整理に戻すことはできないわけです。そうすると、破産しか方法が残っていないことになります。
しかし、法律上「個人再生に失敗=破産しなければならない」というわけではなく、現実的に考えたらそうだよね、というレベルの話でしかありません。
では、「個人再生を失敗する」とはどのような状況かというと、考えられるケースとしては、【債権者の書面決議による反対が多数だった場合】です。
この場合、その後の対応として次の方法が考えられます。
個人再生を行う場合、任意整理で全額を分割返済するのが難しいことが前提となります。そのため、通常は任意整理にすることはありません。
しかし、例えば、親族からまとまった援助を受けて負債総額を減らせる見込みがある等の場合は、残った分を分割で返済する計画を立てて任意整理にすることも可能となります。
再度の個人再生の申立てを行うこともできます。しかし、一度反対されているわけですから再度反対される可能性が高いと考えられます。
そのため、事前に、前回反対した業者に対してその理由を問い合わせ、解決可能な理由であればそれに応じるようにします。例えば、「弁済率が低すぎる(=返済額が少ない)」という理由で反対されたのであれば、弁済率の上乗せをすれば賛成を得られる可能性が高くなります。
また、給与所得者等再生を行うことも考えられます。手っ取り早いのがこの方法で、小規模個人再生と異なり、債権者による書面決議を省略できるので債権者の反対で手続がダメになることを避けられます。
しかし、最低弁済額の可処分所得要件が加わるため、返済総額が大きくなる可能性があります。その場合の返済が可能か慎重に判断する必要があります。
破産することになったら、
といったことになります。
ちなみに、個人再生に失敗した場合の法律上の制限やリスクなどは特にありませんが、認められないがために負債はそのまま残ってしまいますので、上記の方法のなかからその後の対応を考えていくことになります。